書名:戦後民主主義のリハビリテーション
著者:大塚英志 もう2年くらい前になるけど、大学の後輩で音楽誌の編集者をやっているK君と酒を呑んでいて、この大塚英志の話題になったのだった。で、そのK君が言うには大塚英志という人は敢えて「戦後民主主義」をテーマに物書きをしている、とのことで以来ずっと頭の片隅に残っていたのだった。酒には弱い私だが、意外と酒の席での話というのは覚えている。その時は何故か日本文学史における「身体の痛み」の表現にまで話が及んで楽しかった。まぁ酒の席での与太話だけど。 で、書店に行くとこの大塚英志の著作がいつも目に止まっていたのだが、なかなか手にとることはなかった。本書は昨年読んだ『「おたく」の精神史 一九八〇年代論』以来。タイトルもズバリ、「戦後民主主義のリハビリテーション」。帯には『みんなが「右」に言ったので、ずっと同じ場所にい僕は「サヨク」になった』とある。朝日 VS NHKに端を発した2ちゃんねるやblog上の最近の論争はどうしても「右より」だし、自分の視点も右寄りなのは自覚していたから、ニュートラルに、自分なりに咀嚼するヒントになれば、と思って読んでみた。 さて、読み終わって正直なところ戸惑っている。自分が右か左か、どっちかわからなくなってしまったのだ。大塚のスタンスが「サヨク」というなら、本書を読んで多いに納得するところも多い。(ただ、理想主義すぎて鼻につくこともあるけど)。一方で「ぷちなしょ」と揶揄されるかもしれないが、サッカーの試合でスタジアム中を国歌が包むとやはり高揚感、というものも感じる。 右か左のどちらかに軸足を置く、ということは別に誰に求められていることではないが、自分の立ち位置はどっちなのか、もう少し考えてみたい、というのが正直偽らざるところである。
by seed_for_thought
| 2005-02-17 23:46
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