書名:ミステリ・オペラ
著者:山田正紀 古本市にて『幻影城』と一緒に購入。800円也。新刊で購入したら2,300円だからかなりお得。とにかく分厚い、二段組み682頁。 平成元年、編集者の萩原祐介はビルの屋上から投身自殺をする。残された妻、桐子は夫が残したメッセージの謎を追いながら、祖父の遺した善知鳥(うとう)良一による第二次世界大戦中の満州を描いた手記と未完の探偵小説を耽読する。 満州建国に奉納されるオペラ「魔笛」をめぐる数々の殺人事件と、夫の死には何か関係があるのか?いつしか桐子は昭和十三年と平成元年を行き来するようになる。 量子力学理論の援用、古典ミステリの引用など、これでもかと詰め込まれるガジェットにクラクラしながら、一気読みした。毎晩遅くまで読んでいたので今週の仕事はきつかった。 「探偵小説としての昭和史」文中からの引用だが、本作はまさに昭和史の暗部を「いくつもある可能性」から切り取った壮大なオペラでもある。
by seed_for_thought
| 2005-01-23 01:20
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